№10 誤解「させた」方が悪い・・・そう思った方が良い
ビジネス上の誤解は、相手側の勘違い、早とちり、あるいは思い込みだったりするケースも少なくないようだが、その対処には「こちらに落ち度あり」そうした方がいい。
なぜなら、誤解されてしまった以上、どちらに非があったのか、それを確認しあえばしあうほど、事態は深刻になる、トラブルの度合いを深めるだけになるからだ。
また、誤解された経緯を検証した研究によると、相手よりもこちらの「言葉足らず」それが圧倒的に多いそうだ。自分たちの業界での常識やルールで対応してしまったのが原因、これも結構、多いという。農業界にも多そうだ。
いずれにせよ、ビジネス上では、多少理不尽でも、誤解させた方に「勝ち目はない」。
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台風の直撃を受け、予約注文の量が確保できなくなったリンゴ農家。地域の仲間から融通を受け、何とか数を揃えられたが、10年来の常連さんからクレームの電話がきた。
「いつものリンゴとは味が違う。あなたが作ったものではないだろう?」。即、事情を説明したが、「台風被害はテレビで知っている、正直に言ってくれれば応援したのに」と切り返された。言外には「嘘をつかれた」というニュアンスが有り有りだった。
「今回は地域の仲間が作ったリンゴも入れさせていただきました」と事情を説明する断り書き1枚で済んだ話だろうが・・・以来、このお客さんからの注文は無くなった。
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中高年に人気の和食ファミリーレストラン。何組もの客がレジで揉めていた。
今月は使えない、来月用の割引券を出したことが原因のようだ。どうやら、最近新聞に入ってきたチラシに今月用、来月用、2種類の割引券がついていたが、適用月が小さな字でしか書かれていなかったらしい。その上、来月用はチラシの一番下、切り取りやすい場所だったので多くの客がそれを切って、持参してきたようだ。
「月始めに配るチラシに、来月しか使えない割引券をつけるなんて、年寄りを騙す気か」
1枚のチラシで二カ月分の広告・・・自社メリットだけに目を奪われた結末だろう。
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最悪の誤解は、当方の言葉足らずを「嘘も同然」と受け止められてしまうことだ。
具体的には、取引先から以下のような非難を受けたことはないだろうか。
・それなら、前もって言ってくれよ!
・早く言ってくれれば、打つ手があったのに!
・それは、そちらの業界の常識で、我々には通じないよ!
こういう事態を招いてしまう言葉足らずを筆者は、「言わない嘘」と名付けている。
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「言わない嘘」の代表例として筆者がよく扱う事例は、関西の大手引っ越し会社。
これは筆者の経験だが、引っ越し先のご近所へのご挨拶に「石鹸」を勧められた。
たまたま一つ余り、開けてみたら驚いた、これぞ「言わない嘘」の典型だった。
その石鹸には、社名と電話番号が刻み込まれている、ずっと使い続けても読み取れる細工で刻み込まれているではないか。ご挨拶先はどう思ったか、これは絶対に許せない。
「そういう仕様の石鹸ですからお安くなっています」と言われれば、別の判断があった。
これはちょっと前の話で今は知らないが、筆者のこの会社の評価は、今も変わらない。
JAMM取締役 鈴木肇
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