No.7 お詫びとお礼のタイミングは・・・揉め事の素・幸せの素

 狭い地域や業界で長い間暮らしていると、一般世間からみれば、礼儀知らず非常識とされてしまう立ち居振る舞い、これがいつのまにか身に付いてしまう。
 その一つはお礼とお詫びの仕方。農業界でいえばそのタイミングの悪さが指摘できる。今回は、この御礼とお詫びとタイミングについて、考えてみよう。
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 伊豆半島、全5室いずれも露天風呂付き、山の中の隠れ家のような温泉宿。家族経営らしく飾り気のない料理も気に入った。帰宅早々、御礼の感想メールを送ったのだが、10日経っても返事が来ない。何かあったのかとホームページを見て驚いた、客の書き込みへの返事も大方2週間後ではないか。3週間後に返信が来た。「この種のことが苦手なもので・・・」という。郵便より遅くなってしまうなら、スピードが身上のメールやホームページは止めた方がいい。客にケンカを売っていることになり兼ねないからだ。
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 友人のネット書店での体験談。これまでは2~3日で届いたが今回は1週間経っても届かない。ネット書店なのだから、差し障りが生じたら直ちに、メールでお詫びと事情説明をすれば済むのに何も言って来ない。注文から7日目、10目、全国的にも有名なこのネット書店は2度にわたる、友人のしつこいクレーム電話にその都度30分以上も付き合わされた。タイミング良く手を打っておけば、コスト発生を回避できる典型例だ。友人曰く、「この会社にはトラブル対応システムがないから、利用すると不愉快になるぞ」こういう評判は結構、凄いスピードで広まる、これも怖い。
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 全国展開している焼き肉チェーン店で石焼ビビンバを注文した。割れ目が入った石鍋で出てきた。よくあることだが、この店に良かれと思い女性スタッフに話した。彼女の胸札は「研修生」とあった、アルバイトの新人さんか、その後は期待していなかったら数分後、店長が詫びに来た。それだけでも満足なのに食後、「当店の不始末をご指摘くださったお礼です」と、コーヒーが振る舞われた、それも同席していた全員分だった。
タイミングを逸しない詫びと礼・・・その席にいた全員がここのファンになった。
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 ある会議の席上、農業界とのご縁を深めたいというスーパ−の仕入れ担当者から、関東地方の優れた農産物直売所を紹介してほしいと頼まれた。帰宅したその日の夜分、思い当たる何カ所かの直売所の情報をメールで送ってあげた。翌朝一番、その仕入れ担当者から御礼の電話があった。スーパーの朝は限りなく忙しい、と聞いている。その合間を縫っての電話だろうが、こう対応されると当方も嬉しくなる。追加情報の一つも送りたくなるではないか。タイミング良ければすべて良の好例だ。
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 タイミングを逸したお詫びは遅れた分だけ、相手の怒りを増殖、新しい怒りも生む。タイミングの良いお礼は、トラブルも上首尾に納める、想定外な嬉しいことを生む。
 お詫びとお礼のタイミングは揉め事の素・幸せの素とは、こういうことだ。 


JAMM取締役 鈴木肇



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