第5回:組織病に気をつけよう

今回のテーマは組織病についてです。一般には大企業病とも言われていますが3人以上の会社にはほとんどこの病気は内在しているといえます。
第4回のマーケティング入門講座でエンパワーメントの重要性についてお話しましたので今回は2つの寓話をご紹介して組織病を治療する方法を考えて見ましょう。
第1番目は有名な「ゆで蛙の理論」です。
蛙を熱湯の入ったボールに放ってみるとものすごい勢いで飛び出す素晴らしい瞬発力を持っています。しかしながら、水の入ったボールに入れておくとじっとしています。ボールを徐々に暖めていくと蛙は気持ちよくなって目をつぶって寝た状態になります。そのままにしておくとやがてお湯になって蛙は目をつぶったままゆで蛙になってしまいます。
組織病も同じです。社員のマンネリ化もそうですし、特に経営者のゆで蛙は企業自体の疲弊をもたらします。経営の慣れが社内の変化に気づかず、社員から信頼を失っている、あるいは社員の士気が低下していることに気がつかないことが多いのです。
また、顧客ニーズや社会変化などの外部環境に適合しなくなっているのに気づかず、従来どおりの経営手法で会社が変化していない問題もあります。

さて、この組織病を治療する一つの手法として第2の寓話をご紹介しましょう。
ノルウエイに老人でイワシ漁の名人がいました。ご承知のようにイワシは「鰯」と書くように水揚げされるとすぐに弱ってしまいます。漁師たちがとって来たイワシは港に戻ったころにはみな死んでいました。ところが老人がとって来たイワシは港に戻っても元気に泳いでいます。他の漁師たちが不思議がってその理由をたずねた時、老人は生簀の中を見せました。
その中には一匹のなまず(鮫という説もあり)が入っていました。なまずが始終イワシの群れを追い回すのでイワシは常に逃げ回っていて泳いでいるというのです。
この寓話が示すように、組織がマンネリ化するとイワシの群れのようになりやすいので、そこにタイプの異なる第三者を投じることが重要なことです。
農業の活性化に必要な異端者としては「よそ者・若者・ばか者」などとよく言われますが、私は農業に必要な人材は「女性」であると思います。古くから長老・男性社会が農業を閉鎖的な産業にしたと思うからです。農業は自然や生物が相手ですし、近年は生産だけではなく加工や消費者を相手とした販売にも携わるとなれば女性にふさわしい産業ではないかと思うからです。農業の活性化は「女力」からといっても過言ではないでしょう。


JAMM取締役 林辰男



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